事業再生プラン(第二会社方式による抜本的な事業再生)の具体的な内容

経営再建プランの解説

(事例)

A社は年商40,000万円で直近決算書での利益は1,000万円の黒字。

銀行借入合計は50,000万円で20年返済の約定であり、要年間返済額は2,500万円のためキャッシュフローベースでは毎期不足しており、抜本的な経営改善が求められている状況にある。

1.採算事業と不採算事業の仕分け

A社の損益を事業別に分類すると業界に既存している商品を取り扱う事業としての「既存1」「既存2」当社独自の新商品を取り扱う「新規3」とに分かれる。それぞれの事業について分析を行う。

  • 「既存1」は当社の主力商品であり、今後の市場拡大が予測される分野において、業界内でも一定のシェアを獲得していることから今後も安定した業績が期待できる。
  • 「既存2」は業界内で一般的な商品ではあるが、事業単独で利益をもたらすまでには至っておらず、今後の市場拡大の予測も難しい。
  • 「新規3」は当社独自の商品であり、現在投資段階にあるため事業単独で利益を獲得できるまでには至っていないが、今後の市場拡大の可能性は高く、将来的に当社の主力商品になり得る。

以上の分析の結果、「既存1」「新規3」については存続させて新会社への移転、「既存2」は廃止を決定した。

新会社に移転後の各事業の利益計画を作成する。「新規3」については、継続により粗利益の増加、経費の圧縮が予測されるため事業単独での利益獲得が見込める。

2.採算事業の新会社への移転

新会社であるB社を設立し、旧会社であるA社は採算事業をB社に譲渡することになる。

ここでは、その譲渡価額をいくらにするかという検討を行う。

具体的には、A社の貸借対照表をベースに

  • B社に移転する資産(不動産や商品、売掛金など)はいくらか
  • B社が引き継ぐ負債(買掛金など)はいくらか
  • A社の営業権(収益力やのれん代)はいくらか

を測定して、譲渡価額を決定する。

  • B社に移転する資産はいくらか

    移転事業である「既存1」「新規3」にかかわる売掛金、商品を対象とする。
    その際、いわゆる滞留債権などを除くなど、回収可能性を十分に考慮する。
    ここでは移転する売掛金、商品の合計を7,000万円とする

    固定資産も移転事業にかかわるものを対象とすることは当然であるが、さらに簿価ベースではなく現在価値はいくらかという、時価ベースで評価することが重要である。ここでは時価評価後の移転する固定資産を14,000万円とした。


  • B社が引き継ぐ負債はいくらか

    財務体質の改善が目的の経営再建であるため、新会社へ引き継ぐ負債は少ない方がより効果が高いが、会社の対外的信用を踏まえB社において事業を継続していくことを考えると、買掛金などの仕入債務は新会社へ移転させることが望ましい。旧会社には銀行債務のみを残すことを検討する。ここでは引き継ぐ負債を買掛金相当額の6,000万円とする。


  • A社の営業権はいくらか

    営業権とは企業が有するノウハウやネットワークなど、代替できない無形の価値のこと。

    ここでは、5,000万円とした。

以上から(移転資産の合計価額)-(引き継ぎ負債の合計価額)=20,000万円と決定した。

3.旧会社債務への対応

B社はA社から移転を受ける事業資産の対価としての20,000万円を丙銀行借入で調達する。
B社に移転する事業では年間2,000万円の利益が生まれる計画であるので、10年間で20,000万円の返済は可能であり、丙銀行としても融資先として審査が通る見込みが想定されるが、計画内容の十分な説明が必要である。

A社には不採算事業と既存の銀行借入が残っている状態であり、B社から受けた譲渡代金20,000万円を銀行借入返済へ充てることとし、不採算事業については廃止、清算の方向ですすめる。
しかしながら、この20,000万円で返済できるのは債務全体の一部であり、このままで甲銀行、乙銀行の了解を得るには困難である。

一方で、経営再建プランを実行しなければ、その20,000万円の返済すら捻出できなかったことも事実であるため、双方を粘り強く説明することで、「一部でも回収できる方が良い」との判断を各銀行に促すことが必要である。

4.旧会社の清算(過剰債務の解決)

A社 不採算事業と過剰債務を抱えて清算。
B社 採算事業を健全に運営。丙銀行に対する返済も利益計画から無理がなく。
取引先にも一切迷惑をかけずに事業継続が可能となった
甲、乙銀行 年々、A社に対する不良債権を一部回収できた上、残額につき損失処理が可能となった。
丙銀行 採算事業を営むB社に対し、優良な貸出先として新規融資ができた。

5.金融機関への説明、同意取り付け

関係各所から同意を取り付けるまで、繰り返しプランの修正、対外交渉のフォローを継続します。

第二会社方式による事業再生は以下の段階で取り組むことになります。

(1)採算事業と不採算事業の仕分け

(2)採算事業の新会社への移転

(3)旧会社債務への対応

(4)旧会社の清算(過剰債務の解決)

(5)金融機関への説明、同意取り付け

事業再生プラン実現!

月次モニタリングの実施

個々のステップの具体的説明

事業再生プランでは第二会社方式による手法を用いて抜本的な事業再生をはかります。

(1)1.採算事業と不採算事業の仕分け

御社が複数事業を営んでいる場合に、損益計算書の分析を通して、継続して利益を計上する事業(採算事業)と赤字で全体の業績を押し下げている事業(不採算事業)とに仕分けします。もっとも、現時点で不採算事業であっても、新規に立ち上げた事業の場合や赤字となっている原因がありその原因を除去して黒字化が望める事業は採算事業として取り扱います。これら採算事業のみに会社として取り組む事業を絞り込んで事業再生を図っていきます。従来の会社形態のままで不採算事業をリストラし、会社の利益を増大させることで会社債務の返済を容易にしていくのも一つの手法です。その上で、会社債務、特に金融機関からの借入債務の返済条件の変更(リスケジュール、いわゆるリスケ)をすることが考えられます。しかし、これだけでは、会社の過剰債務自体の解消はされず抜本的な事業再生の実現とまでは行きません。

採算事業と不採算事業の仕分けについては、損益計算の分析、経営分析、経営環境の分析を踏まえて、弁護士法人泉総合法律事務所と久徳会計事務所ないし顧問税理士事務所が協同して、経営者様と十分に打ち合わせをしながら取り組んでいきます。

(2)2.採算事業の新会社(第二会社)への移転

会社の抱えている過剰債務の抜本的な解決、抜本的な事業再生を実現するためには、従来の会社形態を維持継続すること自体を見直す必要があります。

すなわち、新会社(第二会社)を設立して、従来の会社(旧会社)から採算事業のみを新会社に事業譲渡します。事業譲渡に当たっては、譲渡する採算事業の事業価値を客観的に算出する必要があります。採算事業の事業価値の算出は、弁護士法人泉総合法律事務所と久徳会計事務所ないし顧問税理士事務所が協同して取り組みます。第二会社はその事業価値に相当する金額を金融機関から融資を受けることで調達し、旧会社に事業譲渡の対価として支払うことになります。この段階において、採算事業の事業譲渡が債権者、具体的には、金融機関から事業譲渡の対価が低すぎないか問題視されないように、事前に金融機関に対して事業譲渡の正当性について説明、根回しをする必要があります。(金融機関が事業譲渡の対価が不当に安いと判断すれば、債権者取消権の行使によってその事業譲渡の効力を否認することができ、第二会社方式による事業再生自体が成り立たなくなります。)金融機関への説明、根回しは弁護士法人泉総合法律事務所が経営者とともに実施いたします。第二会社への移行については得意先、仕入れ先など取引先に対しても説明、根回しをする必要があることは言うまでもありません。

(3)3.旧会社債務への対応

採算事業を第二会社に譲渡することで、旧会社が抱えていた過剰債務の抜本的解決に取り組むことが可能となります。

旧会社の債務は大別すると、金融機関からの借入債務と取引先への債務(買掛債務など)とがあります。取引先への債務については不採算事業に関する債務であっても、第二会社の信用維持、第二会社の事業継続のため、第二会社へ移転することになります。

他方で、金融機関からの借入債務については、採算事業の譲渡の対価として得た金額を返済に充てることで対応します。もとより、譲渡対価の返済だけでは金融機関からの借入債務の一部しか返済できないことが大半でしょう。この点についても、旧会社から採算事業を第二会社に譲渡する際の金融機関への説明、根回しの中で、金融機関からの同意を取り付けることになります。

(4)4.旧会社の清算(過剰債務の解決)

第二会社には採算事業と取引先に対する債務(金融機関からの借入債務以外の債務)が移転し、旧会社には不採算事業と金融機関からの債務が残存することになります。

不採算事業は存続させても経営上のメリットはないため、不採算事業をリストラ、廃止することになります。不採算事業のリストラ、廃止には、法的に解決すべき事項もありますし、費用が掛かるため、それらについて検討する必要があります。

金融機関からの借入債務は採算事業譲渡の対価で一部返済され、残債をどうするかが問題となります。金融機関からの借入債務の対応は個々の金融機関によって考え方が異なっていますので、金融機関との連絡を密にしながら個々の金融機関の対応にあわせた措置を講じることになります。

これらの問題を解決して最終的に旧会社の任意清算、特別清算、ないし破産清算をすることで過剰債務の問題に終止符を打つことになります。

これら旧会社に対する対応について、私ども弁護士法人泉総合法律事務所と久徳会計事務所ないし顧問税理士事務所が経営者様に協力して事に当たることは言うまでもありません。

(5)2~4についての金融機関からの同意取り付け

(2)から(4)については、いずれも金融機関の利害に多大な影響を有することから、金融機関から、その都度理解を得るために説明し、同意を取り付けながら取り組む必要があります。

全金融機関からの同意取り付けによって、第二会社方式による事業再生プランが実現することになります。

早期の対策が重要です。まずは一度ご相談ください。

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